「銘木」と「名木」

通常「名木」と呼ばれているものは、神社や名刹などでよく直径何mもあるな
どと表現される樹齢を経た大木や、歴史的に云われのある特別な木が今に伝わ
っているもの、又、地方地方での生活や風習、信仰などの中で人々と密接な関係を持って親しまれてきた木などを指します
これに対して「銘木」は、「名木」と呼ばれていた木や、山中の樹齢の経た古い木などが自然倒木したものから、良い材としての素地があれば、手をかけて建築用材料として再び蘇らせたものをいいます。つまり「名木」と「銘木」の違いは、土に根をはっているか、死んだはずの木に人が新しい生命を 吹き込んだものかの違いといえます。永い樹齢を経た木は倒木後も素晴らしい生命を保っています。
例えば、ヒマラヤ山中には樹齢2000年といった檜があり、それが倒木してなお150年も経たものを建築材料として使用する場合があります。
檜の香りが消えるどころか、ヒノキチオールなどの分泌物の作用が働き続け、殺菌力まであるのです。白檀、沈香などで知られる”香木”が放つ香りは粉末になってもその香りを失わない素晴らしい生命力を持っています。


見直される和室

敗戦後50年近くの間に、日本経済は驚異的な発展をとげました。その中で、私達の生活に直接かかわる「衣」・「食」・「住」のうち、「衣」と「食」については文字通り豊かな国となりました。しかしながら「住」についてはまだまだ遅れているといわれています。
確かに、設備などの面ではハイテクを駆使した高品質のものが多々開発され、アメリカ的なもの、ヨーロッパ的なものを貪欲に取り入れ、日本向けにアレンジしてうまく調和させてきたといえます。
ところが、「やすらぎ」とか「くつろぎ」を求める時に、そういったものでは何か違和感が残るのも事実です。
労働時間短縮が進み、住宅に求められるものは、益々多様化、高度化していきます。そうした中で”お茶”、”お花”といった日本の伝統文化に目が向けられ”和室”が今、見直されています。
外観や日常生活空間の洋風化は、日本人のライフスタイルに完全に定着しました。だからこそ”和室”に求められる意味が更に重くなってきたともいえます。
日本人としてのアイデンティティーを感じる空間に「銘木」は欠かせぬものだと思います。
「銘木」が使われる場所
「銘木」は、人と同じようにそれぞれ個性がありますから、床の間を中心とした部屋の中で個性を生かした使い方がされます。
主な場所は、床柱、床板、床框、落掛、棚、天井板、竿縁、廻縁、長押、鴨居、敷居などの造作材、さらに廊下板、上框、障子の桟や照明器具などにまで使われています。

「銘木」は適材適所が大切
よく「銘木」の使い方に一定の決まりがあるのかというご質問を受けます。「銘木」は本来、あくまで使う人の感性、価値観、求め方、審美眼で自由にお使いいただくものです。ただ、長い歴史の中で受け継がれ、培われてきた適材適所、つまり、建築上での大切な”収まり”の良い個性の表現というものはありますので、参考にされることもよいのではないかとご提案しています。
日本の伝統文化には、世界に誇れる素晴らしいものが多くあります。
その中の一つである建築に限っても、根本的な様式は現代に受け継がれております。
この伝統的な考えを基本にすることによって、新しい空間や構造の変化、生活スタイルの変化に対応した応用と新しい感覚の取入れ方ができるのではないでしょうか。
木の上手な使い方のポイントは、第一に飽きがこないように、年月を経ても木の美しさを損なわないような配慮をすることです。
又、現代建築のなかでの「銘木」の生かし方も、構造、内装、空調整備などのからみもありますから、「銘木」の個性をよく知っていただき、今の適材適所というものも考えていく必要があります。
そして、やはり大切なことは、住む人の心が住まいをつくるということです。
”本物だなぁ・・・”と感じる和室には、必ず「銘木」がきちんと使われています。
それは”収まり”の良さからくる安定感と、風雪に耐えたものしか放つことのできない何かがあるからです。
「銘木」を正しく価値ある使い方をしていただくためにも、「銘木」のことならどのようなことでも岡本銘木店にご相談くださることを願っています。
「銘木」の価格
「銘木」の価格には、決まった基準がないのが実情です。「銘木」には同じ物が二つとしてないことは先に述べましたが、素人目からは同じように見える木でも、内容が全く違うためです。木の樹齢、形状、色合い、艶、木目、産地など「銘木」としての条件をどれくらい備えているか、目利きといわれるこの道の熟練者が見て、希少価値や特殊性、美的要素などを判断し、それに需要と供給のバランスが加わって価格がつけられています。
例えば、同じ直径の杉丸太でも、15年ものと35年ものとでは、年輪の目が2倍以上も違います。このことは、磨いた木肌の艶や施工後の木やせ(一種の収縮)、干し割れ、ねじれ、曲がりなどに現れてきます。ましてや200年以上の樹齢のものとは比較の対象にならないほど歴然とした差がでるものです。又、板の場合を例にとりますと、天井板の最高級とされている中杢は、板の中央部に板幅の一割位の目幅がまっすぐに伸び、節、傷もなく左右の柾目が見た目に均一です。
こういった材は、大径木の中心部からしか得られず、しかも、何百年もの間、木の若いうちから枝打ちをして丹精込めたものか、自然の中で偶然に生み出された節の無い木からでないと採れません。
この希少価値ゆえに高価になるわけです。
 
 
 
 
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